「近大キャビア身近に」

本日の東京新聞夕刊にクロマグロの完全養殖に成功した近畿大学水産研究所で、チョウザメの効率的な養殖の研究が進んでいるとの記事が掲載されていた。記事によると、紫外線をあてた精子を受精した受精卵に温度処理を実施したところ、メスしか生まれない「超メス」の染色体が含まれることが世界で初めて確認できたとのこと。全てメスだらけのチョウザメの養殖に成功すると、世界三大珍味の一つキャビアを2倍採れることができる。

全国海水養魚協会のデータを後掲するが、すでに日本の漁業生産額の23%が海面養殖業となっている。遠洋漁業や沖合漁業、沿岸漁業の海面漁業が軒並み右肩下がりのカーブを描いているのに対し、海面養殖業だけは生産量を増やしている。世界的な魚食ブームが広がる中で、近大キャビアが採算ベースに乗るようになると、国内消費だけでなく輸出にも回すことができるだろう。

養殖業の魅力と可能性について、生徒に説明できるように、しっかりと勉強していきたい。

「米、不法移民摘発強化」

本日の東京新聞朝刊より。
昨日の進学講習で移民と難民の違いに関する問題を扱った。「難民」は紛争や迫害、人権侵害などから逃れるために、仕方なく国を逃れることになった人たちを指す用語である。そのため、時には歩いて国境を越えることもあり、周辺国に緊急的に逃れるケースが多い。

一方で、移民は自らの意思で住む国を移動した人という区別しかないが、よりお金持ちの国(一人当たりのGNIが高い国)で働くために移住するケースが大半である。ベトナムやフィリピンから出稼ぎとして日本にやってくる若者をイメージすると分かりやすいだろう。

ただし、移民と難民の明確な線引きは難しく、世界各国で不法移民対策が難民切り捨てとなってしまうことも多い。今回の記事もバイデン大統領は不法移民の摘発を強化する一方で、国内が混乱しているキューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラの4カ国からの難民は毎月3万人を受け入れると表明したとのこと。合法的な移民の受け入れを具体的な数字をあげて実行するというのは分かりやすい。

日本も労働力不足があちこちで指摘されているので、積極的な移民政策に移行すべきだと思う。ただでさえ不明瞭な審査基準が指摘されているので、ざっくり毎月1万人といったように分かりやすい数値で実施すべきである。

「イスラエル閣僚 聖地訪問が波紋」

本日の進学講習で紹介した、東京新聞朝刊記事です。
エルサレムはキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の3つの宗教の聖地です。過去のエルサレムを巡る歴史から、1947年に国連による永久信託統治となったところです。イスラエルの首都は公式にはテルアビブです。

現在のイスラエル政権はユダヤ教原理主義的と言ってもよいほどの右寄りであり、エルサレムをイスラエルの土地だと主張している。イスラエルの極右政党「ユダヤの力」の党首のベングビール氏が、個人という立場でエルサレムを訪問するのは、信教の自由に照らして何ら問題ない。しかし、イスラエル国家の閣僚として公式に訪問した場合は意味合いが異なる。その点を弁(わきま)える必要がある。

日本にも信教の自由と政教分離原則を巡る議論がある。例年8月15日前後に新聞やテレビを賑わす靖国参拝問題である。靖国神社は紆余曲折あって、太平洋戦争でA級戦犯とされた「犯罪者」を「神」として合祀している神社である。その靖国神社を個人の立場で私的に参拝するのは問題ない。信教の自由が保証されているからである。しかし政治家や官僚の立場で靖国神社を公式に参拝するということは、国家として靖国神社を讃美するという意味を含むことになる。極めて政治的な話となってしまう。公務員という立場である以上、私的と公的な立場は意図して使い分けないと、個人の範疇を超えて問題が膨れ上がってしまう。

今回のイスラエル閣僚のエルサレム訪問は、パレスチナ側やアラブ諸国が反発するだけの話ではない。国連の総会決議で決まったことに違反しているので、国連として公式に課題として取り上げ、二度と繰り返すことのないように釘をさすべきである。決して第三者になってはいけない。

「南シナ海 中比対話枠組み構築へ」

本日の東京新聞朝刊に、南シナ海の領有権問題で緊張が高まる当該国のフィリピンが、中国との経済協力をより深めていくとの記事が掲載されていた。

記事を読んでも、フィリピンのマルコス大統領が米国寄りなのか、中国寄りなのか、いまいちみえてこない。政治と経済を切り離した形で、政治的には米国に与しつつ、経済的には中国との関係強化をはかっていく「一挙両得」作戦なのであろうか。

ASEAN域内の経済連携を進め、中国マネーに頼らずとも、巨大な市場を抱える東南アジアで自立的な経済圏を地道に作っていくことが、東南アジアの将来に有効である。間違っても米国や中国が軍事介入してくるような事態を招かないことが大切である。