「渋谷の公園 出入り突然制限」

本日の東京新聞朝刊に、渋谷駅周辺で暮らす路上生活者や困窮者に対して行われていた、渋谷区の美竹公園での炊き出し活動が突然中止に追い込まれたとの記事が掲載されていた。

地理からは少しずれるが、広く捉えれば、都心部のインナーシティ問題のカテゴリーに加えてよいであろう。インナーシティとは、ざっくりまとめると、都心周辺に位置する低所得者層の居住エリアのことである。細くまとめると、大都市の都心周辺に位置し、富裕層の郊外移転に伴い、老朽化した住宅や商店、工場などに低所得層や外国人労働者が流入し、周囲と隔絶したスラム街が形成されると定義される。こうしたインナーシティでは、路上での物売りや靴磨きなど、行政の管轄下にない不安定な就労形態のインフォーマルセクターと呼ばれる人たちが住みつくようになる。

こうした社会学や地理学的な視点に立って、都市問題として捉えるならば、路上生活者自身の自己判断とか自己責任として片付けられない問題としての側面が表れてくる。記事に出てくる支援団体の「のじれん(渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合)」は1998年に結成されている。私の記憶が正しければ、渋谷の公園通りに面した勤労福祉会館で結成式が行われたはずである。支援者と被支援者の一方的な関係に基づいていた「いのけん(渋谷・原宿 生命と権利をかちとる会)」から、当事者を主体とした「のじれん」への衣替えを宣言した結成式に私も同席していたはずである。渋谷まで出掛けて行くのは難しいので、違った形での支援を考えてみたい。

「左派ルラ氏 ブラジル大統領返り咲き」

本日の東京新聞朝刊に、南米ブラジルの大統領選挙の結果、現職右派のボルソナロ氏が破れ、元職左派のルラ氏が通算3期目の登板を決めたとの記事が掲載されていた。

記事の後半に、ルラ大統領がロシア、中国、インド、南アフリカの新興5カ国(BRICS)の関係を重視するとの内容があった。BRICSはあくまで2000年以降に経済成長した括りに過ぎないと思っていた。ウィキぺディアで調べたところ、2011年に中国でBRICS首脳会議が開催されており、今年に入ってイランとアルゼンチンが加盟を申請しているとのこと。知らなかった。この5カ国だけで人口は30億人を超える巨大なアソシエーションとなる。政治的な中立を保っているインドの動向も気になるが、注目しておきたい記事であった。

「飼料米への転作 国が助成見直し」

本日の東京新聞朝刊に、主食用米を作っている稲作農家が、牛や豚の餌となる飼料用米へ転作する動きに関する記事が掲載されていた。現在国内の畜産農家は米国やブラジル、アルゼンチンから輸入されたトウモロコシや大豆を飼料として用いている。しかし、今年に入ってからウクライナ戦争による燃料費の高騰や円安による輸入価格の上昇で、畜産農家は悲鳴をあげている。

また、下に昨年度の農林水産省の食料・農業・農村政策審議会・畜産部会の飼料、おっと失礼、資料をあげておいた。カロリーベースでの食料自給率が低い要因として、家畜用飼料の輸入が指摘されている。農林水産省自体が「国産飼料の増産により飼料自給率を上げ、畜産物の国内生産を増加させ、食料自給率の向上を図る」と述べている。

本日の記事を読む限りでは、農林水産省の狙いがよく分からないが、濃厚飼料用の大半を占めるトウモロコシは100%輸入に頼っている現状を考えると、現在の稲作農家の理解と協力を得ながら、飼料用米の増産を目指すのは諸手を上げて賛成である。

しかし、明日の2年生授業がちょうど食料自給率の部分なのだが、この記事はちょっと使いにくいね。

「高校フルーツ 海外へ」

本日の東京新聞夕刊に、茨城県の農業科の高校で栽培した高級ブドウシャインマスカットがマレーシアに輸出されるという記事が掲載されていた。記事の最後で、指導を担当する教諭が次のように述べている。

人口が減り日本全体の消費が減る中、もうかる農業のためには人口が増加しているところに売っていかないといけない。輸出の流れを勉強し、生徒たちが海外に目を向けるきっかけになるといい

2学期の授業の中でも、日本市場(しじょう)がどんどん小さくなる中で、高校生の君たちはどんどん海外に目を向けてほしい点を強調した。記事のテーマは農業だが、農産物に限った話ではない。日本市場の狭さを実感し、英語を武器にどんどん世界を視野に入れてほしいと思う。その手助けができれば、地理教諭として望外の喜びである。