「米の銃犠牲者数 コロナ前を上回る」

本日の東京新聞夕刊に、米国で年初からの銃の死者が17,000人を越えたとの記事が掲載されていた。ルイジアナ州の最大都市ニューオーリンズは、白人が6割、黒人が3割となっているが、3割の黒人社会で銃が蔓延している。銃による犯罪が多いので、銃の販売が増えるという悪循環に陥っている。世界一の大国で銃所持が許可されているというのは全くもっておかしな話である。アメリカ拡大に伴う歴史的な経緯もあるが、アメリカ市場が活況なため、銃の製造が増え、他国が迷惑しているという現実がある。

今から20年以上も前の話であるが、1999年にコロラド州のコロンバイン高校で銃乱射事件が発生した。13名が射殺され、犯人の2人の高校生も警察との銃撃戦の末、銃で自殺するという凄惨な事件だった。米国のジャーナリストで、ドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏が、この事件を『ボーリング・フォー・コロンバイン』(2002 米)という作品で、事件の概要から背景まで丁寧に説明している。その中で、ムーア監督は銃が気軽に手に入る米国そのものが病んでいると述べている。大麻合法化の動きも加速化しており、いったい米国はどこへ向かっているのであろうか。

記事から離れるが、少し地理的な話をすると、ニューオーリンズはミシシッピ川が運んできた泥が堆積した三角州の上に位置している。ミシシッピ川は北米大陸の平野を縦断するため運搬力が弱く、泥は海岸近くに溜まっていく。ちょうど鳥の足跡のようなので、鳥趾状三角州と呼ばれている。海岸近くの平野なので標高はたったの2mである。また、ニューオーリンズはカリブ海に面しており、熱帯低気圧(ハリケーン)の通り道にある。2005年8月には905hPaのハリケーン・カトリーナが直撃し、高潮によって1600人が犠牲となっている。

「カタールに変革もたらすか」

本日の東京新聞朝刊に、サッカーW杯が開催されるカタールのお国柄について報じられていた。
確かにカタールといっても原油国でお金持ちの国というイメージしかない。1970年代まで英国の保護下にあり、アラビア語と英語で24時間放送する衛星放送局アルジャジーラがあるため、アラブ圏と欧米の橋渡し的な国だと勝手に理解していた。

人口は280万人で、一人当たりのGDPは約6万2千ドル(2021年)となっており、世界トップレベルの数値である。日本との関係が深く、原油・天然ガスを主とする輸出額のトップは日本である。中東の中でも一番関係が深いのに、日本の存在感は薄い。国内人口280万人のうち、カタール国籍を持つ富裕層は2割程度であり、残りの8割は南アジアやアフリカからの移民が占める。中東の産油国の基盤的な労働を担うのは南アジア出身の労働者が多いというのは共通テストでも出題されている。

イスラム教の教義の否定につながる欧米型民主主義や女性スポーツの普及などは、一朝一夕に解決できるものではない。他国があれこれ口を出すのではなく、アラブ圏の国内での議論の熟成を待ちたい。

「北朝鮮が4発 短距離弾道弾」

本日の東京新聞朝刊に北朝鮮が米韓空軍の大規模訓練に抗議のミサイルを発射したとの記事が掲載されていた。北朝鮮はミサイル発射の威嚇を繰り返すだけで、とても戦争を遂行できるだけの経済力はない。過剰な反応は不要である。また、米国サイドも北朝鮮への攻撃を続けているが、アフガニスタンの悲劇を繰り返すのか。金正恩政権をぶっ潰すのは構わないが、残された2000万人あまりの北朝鮮国民を誰が守るのか。タリバン政権の復活の二の舞を踏むだけである。

ネットで調べたところ、北朝鮮は安定陸塊に属し、莫大な量のレアアースが眠っているとの調査もあるようだ。

いずれにせよ、北朝鮮国内で基本的な人権や民主主義制度が生まれ、健全な野党、市民運動が育つことこそが遠回りなようで一番大切なプロセスである。日本がなすべきは軍事力の増強ではなく、草の根の市民交流や農業・教育・インフラ分野での支援である。

「米、ウクライナへ580億円追加」「イラン ロシアへ無人機供与認める」

本日の東京新聞朝刊に、米国バイデン政権が軍事条約を結んでもいないウクライナへ580億円分の軍事支援を実施すると発表したとの記事が掲載されていた。一方で、国連安全保障理事会決議で核兵器開発や技術移転禁止の制裁下にあるイランがロシアに対し無人爆撃機の供与を行なっているとの報道もあった。

国家間の戦争といえど、武器を購入しないことには自国を守れないし他国に攻め入ることもできない。一方、武器製造業者からすれば戦争こそ最大のビジネスである。実際にバカスカ使ってもらわないことには利潤は生まれない。A国がB国へ軍事支援といっても、実際はミサイルや戦車を製造・整備している企業の口座にお金が振り込まれるだけである。

資本主義においては経済的自由権が認められており、国家は私人・私企業の自由な経済活動に介入ができない。だとするならば、国家が理性を持ち、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」姿勢が大切である。

「羽田新ルート 反発さらに」

本日の東京新聞朝刊に、羽田空港に到着する着陸機が品川区内の住宅のすぐ上を通過する低空ルートを巡る問題が報じられていた。

東京五輪の直前2020年3月に運用が始まり、2年あまり近隣住民の住環境が極めて悪化しているという。では、そもそもどうしてこのような窮屈なルートをとらざるを得ないのであろうか。それは「横田空域」のせいである。

東京都福生市と埼玉県入間市にまたがる米軍横田基地は、在日米軍司令官および第5空軍司令部が所在する極東における米軍の主要基地となっている。そのため、太平洋だけでなく日本海へも出やすくするため、日本の領空上にも関わらず、1都8県にまたがる空域が米軍に占領されている。

新聞記事の下に載せた立体図を見れば、よりイメージ掴みやすいと思う。最近北朝鮮のミサイルがテレビや新聞を賑わすが、日本の領空内で我が物顔に訓練するオスプレイなどの米軍機の事故の方がはるかに怖い。また、横田空域が設定されているために、日本の航空機も無駄に遠回りを強いられ、記事にあるような危険なルートを飛ばざるを得ない。

ずいぶん昔の話になるが、1999年に石原元都知事は就任時、「横田基地返還」を公約に掲げていた。結局は実現しなかったのだが、独立国の日本の領土領空が米軍に侵略されているという実態は広く報じられた。私も声を大きくして、「日本の空を早く返せ」と言いたい。