「BTS順次兵役を履行予定」

本日の東京新聞夕刊に、韓国の人気音楽グループ「BTS」のメンバーが、今月から順次入隊の手続きを行うとの記事があった。
ソ連の後押しを受けた北の朝鮮民主主義人民共和国と、アメリカの後ろ盾を持った南の大韓民国の間で1950年に勃発した朝鮮戦争は、いまだ終結しておらず、いつでも再開の可能性が残された休戦状態にある。そのため韓国では男子に18ヶ月の兵役義務が課されている。ちなみに北朝鮮では高校卒業後、男子に8年、女子に5年もの兵役義務が課されている。

韓国では通常満18歳で徴兵検査対象者となり、19歳になる年に兵役判定の検査を受ける。つまり大学生であれば1年生の時に検査があり、2年生になる前に約2年休学して入隊することになる。20歳前後の2年間を男だけの世界で暮らすことになるのだ。ただし、芸術やスポーツの分野で活躍した人は延期や免除が認められている。

ちなみに記事にある釜山は韓国第2の都市である。ただし、韓国の人口の半数が暮らすソウル首都圏と比べ、釜山の人口は350万人ほどとなっている。ちょうど日本に当てはめると、北海道人口500万人のうち200万人が道庁所在地の札幌に、35万人が第2の都市旭川に暮らしているようなものか。

「党規約に”独立反対”明記」

本日の東京新聞朝刊に昨日閉幕した中国共産党大会の模様が報じられていた。
中国にも日本の国会に相当する「全国人民代表大会(全人代)」という年に10日間ほど開かれる最高権力機関がある。しかし、中国は共産党しか認められていないので、全人代は形式だけで、共産党大会が事実上の最高機関となっている。

この5年に1度開かれる共産党大会が昨日閉幕したのである。欧米と距離を取り中華思想の発展を企図する習近平総書記の再任や台湾の独立に断固として反対することなどが決定している。内戦を戦った毛沢東は蒋介石が逃げ込んだ台湾島を武力での統一を考えていたと言われる。一方で、1980年代の改革・開放政策を推し進めた鄧小平は台湾の経済的発展を取り込もうと、長期的なスパンで平和的解決を望んでいたと言われる。

この点は1950年代以降の中国の計画経済が失敗した一方で、台湾はアジアNIESの一角として輸出指向型工業を中心に急激な経済成長を遂げた点からも考察できる。1980年代以降、中国沿岸の経済特区と台湾の間の活発な貿易が、世界の工場となった中国を支えてきた。昨年も中国の輸入相手国・地域で台湾が2年連続1位となっている。中国は台湾から半導体を含めた電子部品を大量に輸入しており、中国の主要産業の屋台骨ともなっている。

記事にもある通り、中国は短兵急な台湾の武力統一を望んでいないであろう。国内向けの政治的アピールという側面が強い。問題は日本や米国、韓国の対応である。バイデン大統領にせよ、岸田総理にせよ、過敏すぎる対応は控えた方がよい。

今大事なのは中国を含めた日本、韓国、台湾の互恵的な経済発展である。コロナで冷え込んでしまった観光や半導体生産で協力体制を構築することである。幸い東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを含めた「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」が今年発効されている。政治的ないざこざと経済連携を一緒くたにしてはいけない。

ちょっと話が広がりすぎた。ちょうど授業で扱ったばかりだったので、時間があれば伝えたかったことを書きました。

「保健室の先生やっと来た」

本日の東京新聞朝刊に、さいたま市大宮区にある埼玉朝鮮初中級学校に常勤の保健室の先生が着任したとの記事が掲載されていた。埼玉朝鮮学校は学校教育法に基づく「正規の学校」とは認められておらず、いまだに学生証のない「各種学校」として位置づけられている。そのため卒業しても中学校卒とも高校卒ともならない。幸い中学高校に相当する中級学校を卒業すれば、ほぼ全ての大学への受験資格を得ることができる。

日本の公教育の中に位置付けられながらも、学校の運営は授業料や寄付金、補助金に頼らざるを得ない。なぜ日本に在日コリアンが多数在住しているのかという歴史的な経緯を踏まえれば、朝鮮学校の子どもたちへの支援は、日本の学校並みに拡充すべきである。それは北朝鮮への経済政策と矛盾するものではない。この点は中間考査前の最後の授業でも触れたかと思います。

「昆虫食工場進化」

本日の東京新聞朝刊に昆虫食工場もITを活用し、飼育が自動化されているとの記事が掲載されていた。授業の中でも何度か取り上げているが、人間の筋肉や骨、皮を作る必須アミノ酸を多量に含む動物性タンパク質が世界では足りていない。良質なタンパク質は、牛肉や豚肉などの肉類、アジやサンマ、エビなどの魚介類、牛乳やチーズなどの乳製品、卵などに含まれるが、いずれもアフリカの内陸部では手に入りにくいものである。

そうした世界的なタンパク質不足の切り札が昆虫食だと言われている。コオロギには魚や肉以上に良質なたんぱく質が含まれている。さらに、食物繊維、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、亜鉛などの栄養素も豊富である。また、牛や豚は大量にトウモロコシや大豆などの穀物を消費するが、コオロギは餌が少なくてすみ、環境負荷も小さい。まさにSDGsの象徴といっても良い。

記事ではコオロギがスマート工場で効率良く生産されるとのこと。日本で定着し、世界に普及してほしい食文化と技術である。