「ロシア潤すウズベクワイン」

本日の東京新聞朝刊に、中央アジアのウズベキスタンが取り上げられていた。
ウズベキスタンは中央アジアの中央に位置しており、北はカザフスタン、南はトルクメニスタン、東はタジキスタンや中国・新疆ウイグル自治区に面している。地図帳でも確認できるが、西部にはかつて世界で第4位の広さを誇ったアラル海が含まれている。アラル海は周辺の小麦や綿花栽培による灌漑でどんどんと水位が下がり、わずか半世紀で10分の1にまで干上がってしまった湖として知られる。

カザフスタンやトルクメニスタンのような資源が産出せず、一人当たりのGDPは2,002ドル(2021年)に過ぎない。内陸気候を生かした葡萄の栽培が盛んである。一般にブドウは一日の気温の寒暖差が大きい地域が栽培に向くと言われている。日本でも内陸の山梨県が有名である。

実はこのウズベキスタンのワインは中国の漢詩でも歌われている。下掲しておいたが、王翰の「涼州詞」という七言絶句の漢詩である。王翰は杜甫や李白と並ぶ盛唐の詩人である。

詩聖の杜甫の有名な歌に「春望」という五言律詩の歌がある。「国破れて山河在り 城春にして草木深し」から始まる安史の乱を描いた作品である。松尾芭蕉も「奥の細道」で引用しているので知っている人も多いであろう。安史の乱は唐の玄宗が楊貴妃とともに都を追われ、唐滅亡のきっかけとなった事件である。この安史の乱の首謀者の安禄山は、現在のウズベキスタンの古都サマルカンド出身である。

歴史の繋がりを感じる記事であった。

「雨乞いの祈り」

本日の東京新聞夕刊に、南米ボリビア西部の高地チキパタで雨乞いの儀式が行われたとの記事が掲載されていた。

ボリビアはペルーとの戦争に負けて海岸線を失い、内陸国となっている国である。首都ラパスは富士山よりも高い標高4000mの場所にあり、高山気候区分に属する。雪解け水や地下水に恵まれているため、水で困ることはないが、年間降水量は日本の3分の1ほどの580mmしかない。冬の5月から8月にはほとんど雨が降らない。雨季の9月から4月も月平均で70〜80mm程度に過ぎない。そうした天候を考えると、記事の雨乞いの祈りも理解できる。ちなみにボリビアの主食は痩せた土地でも収穫できるジャガイモとなっている。

「カナダ、インド太平洋戦略」

本日の東京新聞朝刊に、G7の一角を占めるカナダが米国に足並みを揃え、インド太平洋地域で軍事的プレゼンスを高め、対中国圧力を強化する戦略を発表したとの記事が掲載されていた。日本と同様に、米軍の後方支援や人道支援などで協調体制を築き、米軍との一体化を目指すことが国益に叶うと判断したのであろう。

地図帳で見るとカナダは米国よりもわずかに大きく、世界第2位の998.5万平方キロメートルの国土面積を誇る。しかし、人口は米国の約10分の1、約3,699万人にすぎない。米国の51番目の州を任じているのであろうか。気候変動問題やウイグル自治区での人権問題など、バイデン政権の主張そのままである。

『北京 異例の抗議行動』

本日の東京新聞朝刊と夕刊それぞれに、極めて珍しいが、「ゼロコロナ対策」だけでなく、習近平体制そのものに対する抗議行動が中国各地で広がっていると報じられていた。SNSで拡散したのであろうか。アラブの春ならぬ「中華の春」になるのであろうか。

こうした国内の分断時に怖いのが、国民の人気を取るような対外政策である。中国だけでなく、日本でも米国でも政権の人気が落ちると、華々しい外交や貿易での成果や、国民が喝采するような戦争で国民を一体化させる方向に動く傾向がある。

中国国内が矛盾だらけなのは分かっているが、習近平政権が国民の怒りの矛先をどんな方向に向けるのか着目していきたい。

「地熱発電開発担う人材の育成拠点に」

本日の東京新聞朝刊に、「業務スーパー」を全国に展開する神戸物産の創業者が私財を投じて、北海道に掘削技術専門学校を開校したとの記事が掲載されていた。大変素晴らしい事業である。日本は4枚のプレートがぶつかり合う、世界でも珍しい変動帯に位置する。そのためプレートが動く限り、地下の熱エネルギーは無限に供給される。いずれ日本は地熱エネルギーに舵を切らざるを得ない時代がやってくる。こうした掘削技術の継承した若者は次世代のパイオニアになっていく。

ホームページを見ると、1年目ながら専門学校としての体をなしており、道外の高校生がオープンキャンパスに参加すると、18,000円の交通費補助まである。日本の再生可能エネルギーの主役は太陽光や風力ではなく、地熱や小水力、波力、バイオマスである。機会があれば生徒に紹介したい。