「シリア支援行き届かず」

本日の東京新聞朝刊記事より。
トルコ・シリア大地震で、トルコには各国から支援が入っているが、震災被害が著しいシリア北西部のアザズやイドリアには意図的に支援物資が回っていないという。

アラブの春以降に激化した内戦については授業で触れたところである。
詳細はネットの情報から引用したい。アラブの春やイスラム教内の派閥、シリア内戦の展開など、地理総合の授業を受けた人は理解できるところだろうと思う。こうした記事の背景を理解できるようになると、地理だけでなく、歴史や政治経済の授業も面白くなるはずである。

シリア内戦のきっかけはアラブの春と言われていますが、アラブの春の火種となったのがジャスミン革命という民主化運動です。これは2010年12月にチュニジアで起こっており、その波が中東諸国へ波及しました。

この民主化運動はやがて近隣アラブ諸国へ広がっていき、2011年にアラブの春へと発展。エジプトでは30年続いたムバーラク政権、リビアでは42年続いたカダフィ政権が崩壊します。他にもサウジアラビアやモロッコ、イラク、アルジェリアでも同様の民主化運動が活発化し、この動きはシリアへも広がっていきます。

シリアではアサド大統領による独裁政権が40年にも渡って続いていたため、国民は長年社会経済への不満を抱いていました。そして2011年、アラブの春を皮切りにシリアでも抗議運動が始まりました。

この中心となったのが政権から虐げられていたスンニ派の人々です。

スンニ派を中心とした抗議運動はシリア全土に広がり、シーア派を主とするアサド政権政府軍とスンニ派を主とする反政府軍との間で内戦へと発展したのです。

「韓国の出生率 過去最低0.78に」

本日の東京新聞朝刊に、2022年の韓国の合計特殊出生率が過去最低の0.78となった件が報じられていた。合計得出生率とは15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものであり、現在の医療体制で人口を維持するには2.1必要とされている指標である。記事によるとBRICSを除く先進38カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)加盟国で10年連続最低の記録だという。

授業中に触れたが、韓国の出生率の低下にはいくつかの要因がある。一つは住環境の悪化である。韓国は1970年代から80年代にかけて急激に首都ソウルに人口が集中したので、映画『パラサイト 半地下の家族』で描かれたように、家族がそろって生活できる空間が極端に少ない。

また、序列を重んじる儒教精神が強いため、親>子、父親>母親という価値観が、結婚を意識する若者に忌み嫌われている。北朝鮮との戦争状態が継続(終戦ではなく、休戦状態)されているため、徴兵制があることも、結婚を遅らせる要因となっている。

また、経済規模に比べ国内の市場が狭いため、財閥を中心とした一部の輸出産業に経済全体が依拠している歪んだ経済構造となっている。そのため、並の大学を出ても就職が覚束ないので、日本の比ではないほど学歴社会となっている。塾や習い事などの教育費の負担も出生率を押し下げる要因となっている。

韓国の事例や取り組みから学ぶことはたくさんあり、来年度の授業の中で生かしていきたい。

「ベラルーシ・ロシア首脳会談」

本日の東京新聞朝刊にベラルーシのルカシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領の仲睦まじい会談の様子が報じられていた。今年度の授業ではベラルーシについてほとんど触れることができなかった。ベラルーシはロシアとポーランドやリトアニア、ラトヴィアなどのEU諸国のちょうど中間に位置する。かつては白ロシアと呼ばれ、かつてのロシア帝国の一部であったため、言語的にも宗教的にも極めて近く、経済的にもロシアとの貿易が5割を占める。いずれは国家統合のような方向も検討されているほどロシアに近い国である。

一方でロシアと距離を取るような態度を表明しているため、欧米もベラルーシを攻撃する正当な理由がない。そのため、ベラルーシがロシアを欧米から守る緩衝材の働きをしている。当のルカシェンコ大統領も不正な選挙を経て当選したと批判されており同じ穴の狢(むじな)である。

「リオの祭典 復活した日」

本日の東京新聞夕刊に、ブラジル・リオデジャネイロのサンバ・カーニバルが3年ぶりに復活したとの記事が掲載されていた。カーニバルとは、元々イエス・キリストの復活を祝う日(3/22〜4/25)の40日前に行われる謝肉祭が起源である。南半球のブラジルなので、今は夏の真っ盛りである。夏祭りのイメージが強いが、キリストの復活を祝う宗教行事の側面を持つ。南米の大半の国が、スペイン、ポルトガルの影響を受けてカトリックだということは覚えておきたい。

「韓国に避難の3000人 大半が朝鮮半島ルーツ」

本日の東京新聞朝刊に、ロシアが侵攻したウクライナから国籍のない朝鮮半島ルーツの高麗人が韓国に身を寄せているとの記事が掲載されていた。3000人ほどの避難民の1割ほどが国籍を持っていないということだ。記事によると、ソ連のスターリンによって中央アジアに強制移住させられ、ソ連崩壊後にウクライナに移住した人たちで、特定の国籍を選択しなかったとのこと。

記事によると、韓国政府はパスポートがない場合でもビザの延長を認めたとのことである。一方、政府は更なる支援策を急ぐべきだとの批判の声も上がっている。欧米諸国が挙って応援するウクライナからの避難民と朝鮮半島ルーツという2つの要因が絡んだレアなケースだが、韓国政府の判断は正しい。日本の出入国管理法においても昨年日系3世までは、定住ビザを出している。また、2021年には日系4世まで日本語や日本文化を学ぶ講座が用意され、延長可能な労働資格が与えられるようになった。

いずれにせよ、日本も対岸の火事ではない。これから様々なケースで日本に移民や難民が押し寄せてくる。国籍の云々以前に人権という観点を大切にしたい。