本日の東京新聞朝刊より。
本日の授業で紹介したシリア北西部のイドリア県に関する記事である。イドリア県は内戦が続くアサド独裁政権に対する反政府派が支配する地域である。同じスンナ派のトルコとも関係が深い。そのため、アサド政権の軍隊が執拗に軍事攻撃を仕掛ける地域として知られる。記事によると、シリア政府は外国の救助隊の入国を認めず、イドリア県の被災住民が孤立するように画策しているとのこと。トルコとの国境付近から入国して救援活動を行うという手もあるが、ここは日本も率先して、正式な外交ルートを経て、シリア政府の協力を得て救援活動を行うべきである。
「英EU離脱から3年 「国境制御」裏目、不法移民4万人超」
本日の東京新聞朝刊に、「英EU離脱から3年」と題した連載コラムに、EUから離脱して以降、逆に英国で不法移民が増加しているとの記事が掲載されていた。
イギリスとフランスを隔てるドーバー海峡は、最狭部で34kmという短い距離だが、偏西風と北大西洋海流の影響を受け、潮流が早いことで知られる。実際に泳ぐと距離は50kmとも60kmともいわれる。
記事によると、シェンゲン協定から離れ再び国境制御を強化した英国で、海峡を越えて不法侵入する移民が4万人を越えたという。そうした状況の中で、識者の「政府が合法的な難民の受け入れを閉ざせば閉ざすほど、不法ルートで危険な海を渡る人は増える」ため、「政府の強硬策は危機を創り出しているだけだ。合法的な受け入れの拡大に政策を転換すべきだ」との指摘は両手を挙げて賛成である。日本も対岸の火事では済まされない。今から、多様性を受け入れる視野と寛容性を持った若者を育てていきたい。
「鶏卵王国厳戒」
本日の東京新聞朝刊に、鶏卵生産量の第1位の茨城県と同第2位の千葉県で、相次ぐ鳥インフルエンザや飼料高騰で経営不安が広がっているとの記事が掲載されていた。
考えてみれば、なぜ鶏卵の生産量は茨城と千葉がトップで、同じ首都圏近郊の埼玉や栃木、群馬がランキング上位にも入っていないであろうか。
ネットで検索したところ、鶏は夏場の暑さに弱いので、毎年最高気温を記録する熊谷や館林がある埼玉県や群馬県は、飼育が難しい地域とされるそうだ。また、関東の飼料工場は茨城県神栖市に集中しており、千葉県や茨城県へ飼料を運びやすいことも養鶏が盛んになった背景と考えられるとのこと。以前は神奈川県や越谷市など埼玉県南部にも養鶏の盛んな地区があったが、宅地化の波に飲まれ次々に廃業に追い込まれている。そして、大規模な養鶏場があった茨城県や千葉県が関東の養鶏を支えている状況となったようである。
「中国偵察気球 中南米にも」
本日の東京新聞朝刊に、中国の米国上空に現れた中国の偵察気球の飛行ルートが図示されていた。ちょうど北緯35度から60度付近を帯状に蛇行しながら吹く偏西風に沿っていた。少し解説を加えると、地球は地軸が23度傾いているので、夏は気候帯が大きく北上する。それに伴い偏西風も高緯度地域に追いやられてしまう。一方冬は気候帯が南下するため、偏西風の活動域が広がり、風力も強くなることが知られている。また、偏西風は別名ジェット気流とも呼ばれ、航空機が飛ぶ高度12,000メートル付近を流れ、秒速100mにも達し、航空機の運行にも影響を与えている。
今回の中国から飛ばされたとされる気球は、冬の強い偏西風に乗って米国本土まで飛んで行ったと考えられる。この発想は戦前の日本軍が採用しており、1944年から45年の冬に風船に時限爆弾を積んで、ジェット気流を利用して太平洋を越えて米国本土を直接攻撃する風船爆弾なるものを実戦投入していた。実際に9,000発飛ばしたうちの1,000発ほどが米国に到着したとのことである。