「日独、対中で連携強化」

本日の東京新聞夕刊に、岸田総理とドイツのショルツ首相の首脳会談の様子が報じられていた。
中国に対する経済的威圧や安全保障で協力を進展し、米露に対抗する北大西洋条約機構(NATO)や「自由で開かれたインド太平洋」防衛協力との連携を図る目的がある。アメリカの威光がチラチラ垣間見える会談である。

日本は中国との経済的な結びつきが強いので、全面的に「欧米寄り」の方向に舵を切らず、政治的には対立しつつも、経済的には日本、中国双方にメリットのあるような貿易を目指したい。

「フリマサイト 種苗規制強化」

本日の東京新聞朝刊に、フリマサイトで種苗が不正に取引されており、農水省が規制強化を検討しているとの記事が掲載されていた。種苗とは、読んで字の如く、野菜や果物、穀物の種や苗のことである。試行錯誤を繰り返し、数十年にわたる品種改良を経て生まれた種苗は、知的財産権として保護の対象となっている。つまりは、パソコンのOSやスマホのアプリなどに近いものである。

記事にあるような、育成者の権利を保護するための種苗法が改正されたのは2020年である。法案策定の段階で、農水省は次のように説明している。

〇近年、我が国の優良品種が海外に流出し、他国で増産され第三国に輸出される等、我が国からの輸出をはじめ、我が国の農林水産業の発展に支障が生じる事態が生じている。
〇さらに、育成者権侵害の立証には、品種登録時の種苗との比較栽培が必要とされる判決が
出るなど、育成者権の活用しづらさが顕在化している。
〇このため、登録品種を育成者権者の意思に応じて海外流出の防止等の措置ができるように
するとともに、育成者権を活用しやすい権利とするため、品種登録制度の見直しを図る。

であるならば、対応が遅すぎないであろうか。2020年の段階で育成権者の権利保護が謳われている。この4年間農水省は何をしていたのか。日本の産業の根幹である農業を守るという使命感に欠けるのではないか。

「同性愛迫害 難民と認定」

本日の東京新聞朝刊に、大阪地裁で母国に帰ると同性愛というだけで迫害されてしまうため、アフリカ北部の30代男性を難民として認定するとの判決があったとの記事が掲載されていた。

記事には「アフリカ北部」とだけで具体的に国名の明記はないが、性的少数者に対して警察の暴力や家庭内暴力が横行しているチュニジアだと思われる。フランスでもチュニジア出身の性的少数者の難民が認定されている。チュニジアはアラブの春でいっとき民主化が実現したが、2020年代に入ってイスラム主義勢力が台頭し、イスラム法学では婚姻関係にある者同士(つまり夫婦)の性行為以外は許しておらず、婚前交渉や姦通と同様、同性愛はイスラム共同体を破壊しかねない重罪としている。

こうした宗教的な背景がありつつも、大阪地裁が一個人の人権に配慮し、難民として認定したという点は評価したい。とにかく日本の難民認定は渋く、国際的な批判を浴びている。日本も加盟している難民条約第1条にある「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがある」者の定義を改めて見つめなおしたい。

「米兵性犯罪 沖縄に伝達」

本日の東京新聞朝刊に、米軍と日本政府で、米軍人を容疑者と認定した性犯罪について沖縄に伝達する方針を決定したとの記事が掲載されていた。
この事件の詳細については、1学期の歴史総合の期末考査で出題している。この記事の背景には、日本の国土の0.6%の沖縄に在日米軍基地の74%が集中している現状と、極めて不平等な日米地位協定(在日米軍が日本国内で円滑に活動できるようにするために特別な権利を定めた協定)の問題がある。日米安保は歴史総合の教科書の用語ではなく、現在も日本に苦痛を与えている問題だという認識を大切にしたい。