「中国偵察気球 中南米にも」

本日の東京新聞朝刊に、中国の米国上空に現れた中国の偵察気球の飛行ルートが図示されていた。ちょうど北緯35度から60度付近を帯状に蛇行しながら吹く偏西風に沿っていた。少し解説を加えると、地球は地軸が23度傾いているので、夏は気候帯が大きく北上する。それに伴い偏西風も高緯度地域に追いやられてしまう。一方冬は気候帯が南下するため、偏西風の活動域が広がり、風力も強くなることが知られている。また、偏西風は別名ジェット気流とも呼ばれ、航空機が飛ぶ高度12,000メートル付近を流れ、秒速100mにも達し、航空機の運行にも影響を与えている。

今回の中国から飛ばされたとされる気球は、冬の強い偏西風に乗って米国本土まで飛んで行ったと考えられる。この発想は戦前の日本軍が採用しており、1944年から45年の冬に風船に時限爆弾を積んで、ジェット気流を利用して太平洋を越えて米国本土を直接攻撃する風船爆弾なるものを実戦投入していた。実際に9,000発飛ばしたうちの1,000発ほどが米国に到着したとのことである。

「春節の旅行者

本日の東京新聞朝刊に、今年の中国の1月の観光客がコロナ以前の9割弱にまで回復したとの記事が掲載されていた。日本は2010年代の10年間で観光客が5倍にまで増加している。2019年には3200万人と過去最高を記録している。そのうちの3分の1弱が中国からの観光客となっている。爆買いなどの言葉が流行語となったほどである。しかし、コロナ以降激減し、2021年は24万人にまで落ちこんでいる。コロナが落ち着きを見せている今年こそ、日本の観光業界のみならず、イベントやスポーツなども元通りに戻ってほしい。

「ユダヤ礼拝所銃撃 7人死亡」

本日の東京新聞朝刊に、エルサレムでパレスチナ人の若者がユダヤ礼拝所を銃撃したとの記事が掲載されていた。ちょうど地理総合の授業で取り上げたばかりなので、少し解説を加えたい。

授業でも説明した通り、エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教の聖地となっており、国際連合はどこの国にも属さない都市だとしている。そのため日本を含む世界のほとんどの国は、イスラエル国内の大使館を地中海に面したテルアビブに置いている。しかし、米国だけは2017年に駐イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移している。つまり、エルサレムこそがイスラエルの首都だというイスラエル政権の主張を認めたことになっている。米国の軍事的支援もあり、イスラエルはかつてないほどの軍事国家となっている。

授業中にも触れたが、イスラエル国家の視点に立てば、テロを行ったパレスチナ青年は加害者で、礼拝所を銃撃されたユダヤ教徒は被害者である。しかし、パレスチナ人の視点から見ると、圧倒的な軍事力をもってパレスチナ人の暮らしそのものを破壊するイスラエルこそ加害者である。地図帳や世界史の知識を生かして、多様な視点を持つことが高校地理には大切である。

また、イスラエルは地中海に面しており、夏は亜熱帯高気圧にすっぽりと覆われるので、6〜8月の降水量は0mm、9月も0.3mmと砂漠並みに降雨がない。地球の動きも合わせて理解しておきたい。

共通テスト地理A

以下に、共通テスト地理A本試験の解説を掲載しました。
解きにくい問題が多いように思いました。センター試験に比べて、プレートや造山帯、気候区分などの知識を訊ねる問題は少なく、防災に関する文章読解が増えてきました。
ソファで寝転んでパソコン画面で30分くらいで解いたら、5問くらい間違えました。見直しにどれくらいの時間を使えるかで、点数が変わってきますね。

https://school.jpn.org/wp/wp-content/uploads/2023/01/GGAP.pdf