「フィリピン・ミンダナオ島」

本日の東京新聞夕刊に、フィリピン南部でイスラム教徒の多いミンダナオ島で自治政府が誕生するとの記事が掲載されていた。2019年2月にバンサモロ暫定自治政府が発足し、現在はマルコス政権下で、2025年6月のバンサモロ自治政府樹立に向けた移行プロセスが進展しているとのこと。

フィリピンは人口1億1千万人、公用語はフィリピノ語と英語であり、国民の83%がカトリックの国である。

フィリピンの歴史を紐解いていくと、14〜15世紀にはイスラム教の王国が誕生していたが、1521年にカトリックに熱心なスペインの援助を受けたマゼランが上陸し、1571年にはスペインによる統治が開始されている。その後アメリカの支配に入り、1946年に独立を果たした国である。

つまり、500年以上前から、カトリックとイスラムの対立を孕んでいたのである。ミンダナオ島も東ティモールと同じように、いずれは独立をしていくのであろうか。ミンダナオ島だけで人口は2600万人近くおり、フィリピン全体の4分の1を占める。国として独立するに十分な規模である。世界最大のイスラム教国のインドネシアも近く、独立に向けて経済的にも地理的にも十分なキャパシティを持った地域である。

「穀物輸出が回復の兆し」

本日の東京新聞朝刊に、ウクライナの穀物輸出のルートにドナウ川を活用するとの報道があった。記事中の地図を見る限りでは、ドナウ川を遡って、ハンガリーからスロヴァキアの国境沿いを通って、オーストリアにまで運搬されているように読み取れる。そこから、中東やアフリカまでどうやって運ばれるのであろうか。

ウクライナ産の安い小麦がヨーロッパに入ってくれば、ヨーロッパの農家は打撃を受ける。ハンガリーがウクライナに対して距離を取り始めているとの報道もある。

「『移民の国』揺らぐ政策」

本日の東京新聞朝刊に、アメリカ南部のテキサス州やニューメキシコ州で不法移民が流入し、治安や雇用が悪化しているとの報道があった。今年9月までの1年間で247万人が不法に越境し、3年連続で過去最多を更新しているとのこと。

記事によるとメキシコの南に位置するグアテマラやホンジュラス、エルサルバドルなど、世界でも最も危険との評価のある国からの移民が増えているようだ。これらの国は南米から北米への麻薬の中継基地となっており、ギャングが横行しているという側面もある。

「ネパール地震 157人死亡」

本日の東京新聞朝刊に、ネパールでの地震の模様が報じられていた。
ネパールは一人あたりのGDPが1300ドルで、アジア最貧国となっている。2020/2021年度の貿易統計を見ても、輸出が1,411.2億ルピーなのに対し、輸入は1兆5,398億ルピーと10倍以上の輸入超過となっている。コロナ禍で産業の柱であった観光も落ち込んだので、国全体が疲弊している中での大災害となった。

ネパールはインドプレートとユーラシアプレートがぶつかる変動帯に位置する地震多発地域である。現在でも年間45mmの勢いでインドプレートがユーラシアプレートを持ち上げ続けている。そのため、ユーラシアプレートの南端が隆起してできたヒマラヤ山脈は、年間10mm近く成長を続けている。ヒマラヤ山脈山頂付近で貝の化石が見つかるという話も納得である。

「米揺さぶる抵抗の橋軸」

 

本日の東京新聞朝刊に、中東におけるイランの反米戦線の様子が報じられていた。教科書的なスンニ派VSシーア派という対立構造は崩れ、直接にアラビア半島のスンニ派諸国やイスラエルを支援する米国に対し、イランや中国、ロシアが対立するという冷戦的な枠組みとなっている。

ガザ地区のハマスやレバノンのヒズボラは、貧困層への支援などイスラム主義に基づく運動を展開し、国会や自治政府に議席を持つ公的な組織である。

一方、イスラエルは強固な軍事国家である。世界で男女とも徴兵制度がある国は、イスラエル、マレーシア、ノルウェー、スウェーデン、北朝鮮の5カ国のみである。その5カ国の中でも、イスラエルは男性32ヶ月、女性24ヶ月と、北朝鮮に次いで長期間となっている。

今回の衝突は、ハマスの先制攻撃から始まったが、その背景にあるものをしっかりと理解したい。