「飼料米への転作 国が助成見直し」

本日の東京新聞朝刊に、主食用米を作っている稲作農家が、牛や豚の餌となる飼料用米へ転作する動きに関する記事が掲載されていた。現在国内の畜産農家は米国やブラジル、アルゼンチンから輸入されたトウモロコシや大豆を飼料として用いている。しかし、今年に入ってからウクライナ戦争による燃料費の高騰や円安による輸入価格の上昇で、畜産農家は悲鳴をあげている。

また、下に昨年度の農林水産省の食料・農業・農村政策審議会・畜産部会の飼料、おっと失礼、資料をあげておいた。カロリーベースでの食料自給率が低い要因として、家畜用飼料の輸入が指摘されている。農林水産省自体が「国産飼料の増産により飼料自給率を上げ、畜産物の国内生産を増加させ、食料自給率の向上を図る」と述べている。

本日の記事を読む限りでは、農林水産省の狙いがよく分からないが、濃厚飼料用の大半を占めるトウモロコシは100%輸入に頼っている現状を考えると、現在の稲作農家の理解と協力を得ながら、飼料用米の増産を目指すのは諸手を上げて賛成である。

しかし、明日の2年生授業がちょうど食料自給率の部分なのだが、この記事はちょっと使いにくいね。

「高校フルーツ 海外へ」

本日の東京新聞夕刊に、茨城県の農業科の高校で栽培した高級ブドウシャインマスカットがマレーシアに輸出されるという記事が掲載されていた。記事の最後で、指導を担当する教諭が次のように述べている。

人口が減り日本全体の消費が減る中、もうかる農業のためには人口が増加しているところに売っていかないといけない。輸出の流れを勉強し、生徒たちが海外に目を向けるきっかけになるといい

2学期の授業の中でも、日本市場(しじょう)がどんどん小さくなる中で、高校生の君たちはどんどん海外に目を向けてほしい点を強調した。記事のテーマは農業だが、農産物に限った話ではない。日本市場の狭さを実感し、英語を武器にどんどん世界を視野に入れてほしいと思う。その手助けができれば、地理教諭として望外の喜びである。

「レバノン・イスラエル 海洋境界線画定案に署名」

本日の東京新聞朝刊に、中東レバノンとイスラエルの海洋境界線最終案に両国が署名したとの記事が掲載されていた。

レバノンというと、3年前の2019年にカルロス・ゴーン元日産CEO(最高経営責任者)が、保釈中であったにも関わらず、作業員に変装し音響機材の荷物の中に隠れて日本から逃亡した先の国の印象が強い。また2年前の2020年には、港湾に放置されていた硝酸アンモニウムが爆発し、映画さながらの惨事(下記動画参照)になったことも記憶に新しい。

記事にもあるが、高い失業率やインフレに悩むレバノンが交渉を焦ったのであろう。レバノン側が国家として認めていないイスラエルとの間で国境(正確には海洋境界線)を画定させるという不思議な協議という印象は拭えない。地図を見る限りでは妥当なところで境界線が引かれているように感じるが。

「フィリピン米軍拠点 10ヶ所 に倍増を協議」

本日の東京新聞朝刊に、米国とフィリピンの防衛協力の拡大が報じられていた。フィリピンには日本とは異なり米軍基地が置かれていない。しかし、今年に入ってからいよいよ中国の南シナ海への軍事進出に耐えかねて、米軍がフィリピン軍の軍事施設を利用する形で米比軍事合同演習が再開されている。

南シナ海は中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの6カ国に挟まれた場所に位置し、大陸棚となっているため豊富な漁業資源が存在する。6カ国が領有権を主張しており、国境が定まっていない。また、その中心近くに莫大な天然ガスや原油が埋蔵されていることが調査で分かっている。

フィリピンは米国の植民地だったため、政治的には親米的な流れと反米的な流れの両面がある。中国も米国もフィリピンが御し易いと判断したのか、ASEANの一角であるフィリピンの切り崩しに動いている。ちょうど授業で東南アジアを扱うので、授業の中で取り上げてみたい。